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生命保険料控除の新旧の計算方法をわかりやすく説明!?上限の金額は?

生命保険料控除についてみていきます。

多くの人にとって、生命保険は身近な存在です。
一時払いでもしない限り、毎月、あるいは、毎年講座やクレジットカードから引かれている生命保険料。
確かに、あまり保険事故でお世話にはなっていないにしても、身近な存在であることは間違いありません。

そんな生命保険加入者が、年に一度、年末調整確定申告で払った保険料を報告します。
すると、所得税や住民税で控除が受けられるという仕組みになっています。

その生命保険料控除の制度が変更になったのが2012年(平成24年)。
いまだに、新旧の生命保険料控除が混在し、分かりにくい状態が多いと言われています。
今回、その計算方法や上限金額など、わかりやすく解説していきたいと思います。

生命保険料控除とは!

そもそも「生命保険料控除」っていったいどんな制度のことなのでしょう。

生命保険料控除とは、所得税や住民税における所得控除の一つ。
1年間に支払った生命保険料などの一定額が所得から控除される制度です。

ちなみに所得控除というのは、わかりやすくいうと収入のうち税金がかからない部分のこと。
なので、生命保険料控除に該当する金額分が非課税になるということになります。

控除とは、もともと「金額や数量を引き去る」という意味。
ということで、生命保険料控除というのは、生命保険加入者に対し、「所得から引き去る」ということになります。

新旧制度!

その「生命保険料控除」ですが、先ほども触れたように、2012年(平成24年)に、新制度に移行されています。
つまり、生命保険料の控除額が、平成23年12月末までの「旧制度」と、平成24年1月以降の「新制度」では、その計算方法や限度額が違っているのです。

既に新制度となって数年たちますが、新旧制度が混在して計算されることで、いまだにこんらんし、間違った計算をしている方も多いと聞きます。
そこで、しっかり新旧制度をみていきましょう。

旧制度 新制度
一般生命保険料
個人年金保険料
介護・医療保険料

この表で判るように、新制度では「介護・医療保険料」という枠が新しく設けられました。
従来、医療介護などの保険料は一般保険料として計算されていましたが、その部分が細分化されたということです。

  • 一般生命保険料

人の生死にかかわる保険。生命保険のなかでも終身保険や養老保険、定期保険等の保険料のこと。
変額個人年金保険や個人年金保険料控除に該当しない個人年金保険なども一般の生命保険料となります。

  • 個人年金保険料

個人年金保険のうち、払込期間や契約形態など一定の条件を満たして個人年金保険料税制適格特約をつけた保険の保険料が、控除の対象となります。

  • 介護医療保険料

入院・通院や手術など、医療費の支払いに対して保険金等が支払われる保険。いわゆる医療保険、がん保険、介護保険等の保険料のことになります。平成24年から新設された控除枠がこれになります。

そしてその計算方法はというと・・

  • 所得税

[旧生命保険料に係る控除額]

年間の支払保険料等の合計額 控除額
5,000円以下 支払保険料等の全額
25,001円から50,000円まで 支払保険料等×1/2+12,500円
50,001円から100,000円まで 支払保険料等×1/4+25,000円
100,001円以上 一律50,000円

[新生命保険料に係る控除額]

年間の支払保険料等の合計額 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,001円から40,000円まで 支払保険料等×1/2+10,000円
40,001円から80,000円まで 支払保険料等×1/4+20,000円
80,001円以上 一律40,000円

この計算式に当てはめて、3つ(旧制度では2つ)の枠ごとに計算し、その合計が所得税の生命保険料控除ということになります。

同じように住民税では・・

  • 住民税

[旧生命保険料に係る控除額]

年間払込保険料額 控除額
15,000円以下 保険料全額
15,000円~40,000円 保険料×1/2+7,500円
40,000円~70,000円 保険料×1/4+17,500円
70,000円超 一律35,000円

[新生命保険料に係る控除額]

年間払込保険料額 控除額
12,000円以下 保険料全額
12,000円~32,000円 (保険料×1/2)+6,000円
32,000円~56,000円 (保険料×1/4)+14,000円
56,000円超 一律28,000円

となります。

上限が変わった?

これまでみてきたように、新旧制度では、計算の基準となる支払保険料の違いとその計算枠が2つから3つに(一般生命保険料・個人年金保険料・介護・医療保険料)変わったことが違っていました。

そして、もう一つ違っていたのがその上限です。

旧制度では、「生命保険料控除」「個人年金控除」ともに、100,000万円以上の保険料の払い込みで「一律5万円」だったのに対し、新制度では「一律4万円」となっています。

つまり、枠ごとの上限は、低くなったのです。
しかし、枠が今までの2つから3つに広がったことにより、所得の最高控除額の上限は旧制度の「10万円」から新制度では「12万円」に広がったことになります。

ただし、住民税の計算での上限は、旧制度と変わらず「7万円」上限となるので注意が必要です。

困る事例って?

ここまで、「生命保険料控除」の制度が、旧制度から新制度に変わったことを紹介してきました。

ところが、いざ年末調整や確定申告をする際に困ってしまうのが、新制度と旧制度を混在してしまいがちになるということ。
平成23年12月31日までに加入した生命保険は、「旧制度」と「新制度」のどちらを選択してもいいということになっています。
そのため混乱する方が多いようですが、お得な方を選択できるので、よく計算して選ぶようにしましょう。

《計算例》
一般生命保険料 年間 7万円
個人年金保険料 年間 6万円
介護医療保険料 年間   5万円

の場合、すべて新制度だとすると・・

一般生命保険は、70,000円×1/4+20,000円=37,500円
個人年金保険は、60,000×1/4+20,000円=35,000円
介護医療保険は、50,000円×1/4+20,000円=32,500円 となります。

この合計額は、37,500円+35,000円+32,500円=105,000となります。

また、住民税の方は・・

一般生命保険は、一律28,000円。
個人年金保険は、一律28,000円
介護医療保険は、50,000円×1/4+14,000円=26,500円 となります。

そして、この合計額は28,000円+28000円+26500=82,500円となりますが、上限の関係から「70,000円」となります。

『生命保険料控除』のまとめ

年末調整や確定申告のときに必要な「生命保険料控除」についてみてきました。

平成24年に新制度がはじまっています。
しかし、数年たった現在でも新制度と旧制度が混在し、混乱したり間違ったりする例が多いようです。
そこで今回は生命保険料の新旧制度についてみてきました。

旧制度では枠が2つだったものが、新制度になって枠が3つに増えていました。
その反面、1つの枠の上限は「一律5万円」から「一律4万円」へと変わっています。
しかし、枠が3つのため、その合計額では旧制度の上限「10万円」に対し、新制度では「12万円」と増えています。

また旧制度での加入者は、旧計算方法と新制度での計算方法とを選ぶことができお得な方を選択できます。
『生命保険料控除』のことを知って、間違いのない計算で申告をしましょう。

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